歴女としても知られるモデルの渡部杏さんも、大好きだと紹介していた漫画ベルサイユのばら。
最強の少女漫画として50年にもわたり愛され続ける名作ということで気になっていたところ、YouTube大学で紹介されていたので早速試聴しました。
歴史を学べるだけでなく、人としての在り方についても考えさせられる名作だったので、内容と感想を記録していきます。

「ベルサイユのばら」はこんなお話
革命が起こる前後のフランスが舞台となり、架空の人物と実在の人物が入り混じりながらも、ある程度史実に基づいて描かれたお話です。
かの有名な浪費の女王マリーアントワネット、そしてキャラクターとしても有名な男装の麗人オスカルを中心として、愛と女性の背負った普遍的な葛藤について描かれた大名作です。
政略結婚の宿命を背負ったマリーアントワネット
「パンがなければケーキを食べれば良いじゃない」という名言を残したことでも知られるマリーアントワネット。
フランスの国民が貧困に苦しむ中、ダンスパーティーにドレス、賭博にアフタヌーンティーと贅沢と散財を重ね、浪費を続けていくことで国は崩壊し、最後には公開処刑されてしまいます。
そう聞くと飛んだワガママ女王だとしか思えませんが、マリーアントワネットは政略結婚という宿命を一生涯背負い続け、その悲劇は彼女の人生を狂わせました。
国と国の友好の証として、まだまだ未熟な14歳の頃に初恋をすることもなく異国に嫁がされ、その寂しさ、未熟さから国民に目を向けることもできずに、周りのお金目当ての貴族たちからも良いように使われ、国民の怒りに気がついたときには後戻りできない状態になってしまいます。
生まれながらに、生きかたを決められたオスカル
フランス将軍である父を持ち、生まれながらにして将軍になることを運命づけられた女性オスカル。
自らの運命を受け入れ、男装した姿で将軍としての日々を送り、自らの正義を貫いて戦地に向かう強さを持ちながら、女性としての幸せとも葛藤し続けます。
それぞれの運命と生き様
ベルばらの中ではアントワネットとオスカル以外にも、さまざまなバックグラウンドを持ち、自らの運命に立ち向かっていくキャラクターがたくさん登場します。
生まれながらにして与えられた性別、地位の高さが故の悲劇、身分の低さ、格差による苦しみなど。
それらは今の時代では考えられないほどに、大きな障壁となって人生を左右していたことがわかります。
今こうして自由恋愛ができていること、職業選択の自由があること、性別における差別がなくなっていっていることなど、、今当たり前の権利と思っていることも、かつては当たり前でなかったことにハッとします。
そんな運命を背負い、命懸けの選択を迫られたとき、死の際に立たされたときに、その人の本当に大切にしているものが明らかになり、生き様として残るんだということを感じました。
緊張感のない日々に「人としてどう在りたいか」を考えさせてくれる
日本の現代において「平和ボケ」という言葉がよく使われますが、ベルばらの時代からすれば今の日本は事実平和であり、ボケてしまうのも当然だと思います。
そんな中で、こうしてかつての歴史になぞり人としての在り方を今一度考える機会をもらえること、今ある権利が当たり前ではなかったことを思い出せることは、今の日本人に必要な光であり、ベルばらが長年愛され続ける理由なんだと感じました。
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