先日図書館へ行くと、新しい動物関係の本が増えていました。
2021年8月時点の新しい情報をもとに書かれていて、とてもわかりやすく勉強になったので学びを記録します。
著者はこんな方
天理大学人間学部教授の浅川千尋さん。
ドイツを主な研究対象とし、日本と比較しながら動物保護や環境保護について勉強されているそうで、本書でも日本の現状と海外の現状について違いや学ぶべき点が紹介されていて、とても勉強になりました。
ご自身も、元捨て猫4匹と一緒に暮らしているそうです。
この本で学べること

タイトルのとおり、動物愛護や動物福祉と呼ばれるもの全般について広く学ぶことができます。
- ペットを買う前に知っておくべき知識
- パピーミルやオークションなどペット産業の仕組み
- ペット産業における動物愛護管理法
- 殺処分、保護活動の現状
- 動物園や水族館の存在意義や施設における課題
- お肉や卵などが食卓やスーパーに並ぶまでの一連の流れ
- 現状の工場的畜産システム
- 快適性を実現した畜産の紹介やEUでのアニマルウェルフェア
- 動物実験とアニマルウェルフェア
EUで進むアニマルウェルフェア
EU議会は、2027年までにすべての畜産動物のケージ飼育を撤廃することをめざすという決定をしました
これは今回この本で目にして一番うれしかった一文です。
EUでは動物のしあわせや生きる中での権利を考えるアニマルウェルフェアが進んでいるということは知っていましたが、ざっくりとした知識しか持っていなかったため、2027年という近い未来に実現が見えてきているということに衝撃を受けました。
またこういった、アニマルウェルフェアを進めて行くことは食の安全にも繋がるということが紹介されています。
動物実験と3Rの原則
動物実験については、アニマルウェルフェアの観点からつくられた世界基準の考え方「3Rの原則」があることが紹介されています。
Replacement:できる限り(動物を使わない)代替法を選択する
Reduction:できる限り利用する動物の数を少なくする
Refinement:できる限り苦痛を与えない方法でおこなう
EUではこの3つが拘束力を持つ規定となっていますが、現状日本の動物愛護管理法では「Refinement:できる限り苦痛を与えない方法でおこなう」のみが義務付けられていて、残りの2つについては配慮するに留まっているそうです。
動物愛護ってなに?知っておきたいペットと動物愛護管理法|感想・まとめ

動物を取り巻くさまざまな環境について詳しく知ることができ、それに対して日本における動物愛護法の現状や、他国と比べたときの学ぶべき点など、これからの課題が見えた一冊でした。
浅川千尋さんの著書には、「動物保護入門 ドイツとギリシャに学ぶ共生の未来」など他にもとても興味深いものがあったのでそちらも是非読んでみたいと思います。
コメント