つい先日、岸田首相から原発再稼働、そして原発新増設の発表がありました。
福島第一原発事故以来、その危険性が広く知られ、未だ答えの出ていない核のゴミ問題のことなどもあり、原発については拒否反応を示す国民が多い中、今回11年ぶりに発表されたこのエネルギー政策の背景には、一体何があるのか?
中田敦彦のYouTube大学でわかりやすく解説されていたので、要点をまとめて、個人の見解を交えながら学びを記録していきます。
詳しくはぜひYouTubeをご覧ください。
エネルギー政策の転換
2022年8月24日、岸田首相が11年ぶりにエネルギー政策の転換について発表しました。
大きな転換点は以下の3つ。
・7基が再稼働
・運転期間の延長
・次世代原発の新設
日本の原発はピーク時54基だったのに対し、現在再稼働中なのは10基で、さらに追加で7基を再稼働の方向で進めていくことが発表されました。
運転期間については、原則40年、最大60年と言われていますが、アメリカが80年運転させている前例もあることから、期間をさらに延長して運転させる方針だと発表され、安全性について不安の声が上がっています。
そして一番の転換となるのが、次世代原発の新設です。
2011年の福島第一原発事故以来、タブーとして触れられてこなかった原発について、今回の岸田首相の発表は大転換とも言えるものでした。
日本の原発の歴史
日本で原発を使い始めたのは1970年ごろ、3基の原発が始まりでした。
そのころは原発の危険性よりも、CO2が出ない夢のクリーンエネルギーとして注目を浴び、原発でのエネルギー政策を積極的に進めることで2010年には54基まで増えました。
その結果、日本のエネルギー構成の主軸を原子力が占め、日本は原子力の国になっていきます。
ですが2011年の福島第一原発事故で、放射能物質が周囲に拡散されるという人類史上に残る、大きな悲劇が起きて以来、原発の基準を厳格化させようということで10基まで減り、その後原発の政策は11年間進められることはありませんでした。

なぜ今、原子力エネルギーをすすめていくのか?
その理由は以下の3つと言われています。
・ロシア情勢による天然ガス禁輸・燃料高騰
・国際的な脱炭素の動き
・参議院選の勝利
原子力発電にほとんど頼らなくなった今、日本のエネルギーを支えているのは液化天然ガスと石炭火力発電がメインでした。

そんななかロシア情勢により、現在日本のエネルギー構成比第一位の液化天然ガスが入ってこなくなり、物価高による石炭の値上がりで電気代はこれ以上ないほどに高騰、2022年6月時点で夏本番のピーク時を前にして電力需給がひっ迫し、節電を呼びかけるだけでなく、老朽化して眠らせていた火力発電所を再稼働させる事態にまでなりました。
ですが世界的に脱炭素にむけて動いているため、石炭火力を今後増やしていくことは国際的にも許されず、温暖化の面で見ても避けたい選択と言えるでしょう。
再生可能エネルギーはというと、日本が最も適しているだろうと言われる海洋風力発電を導入するにも、今から作るとまだ10年以上かかると言われています。
そして7月参議院選で勝利し、これから3年間は国政選挙がないタイミングということで、政府は「今こそ原発だ!」と強気に動き始めたということです。
原発と世界の動き
ロシア情勢の与えた影響は日本のみではなく、世界の国々でもエネルギー政策の見直しが行われています。
《原発の新設を公表した国》
脱原発を積極的に進めており、現在3基のみで2022年末には0基を目標にしていたドイツでも、脱原発を少なくとも先延ばしにするべきだという世論が強くなっているそうです。
原子力の根本的な問題
天然ガスや石炭火力発電に頼れず、再生可能エネルギーの実用化にはまだ時間がかかると言われている今、原子力発電の必要性が議論されています。
そんな中で、原発(放射能)の危険性以外の点でも、改めて原子力の根本的な問題についておさらいしていきましょう。
⒈核のゴミ問題
原子力発電の過程で発生した、放射能物質の処分方法は未だ見つかっておらず、増え続ける大量のそのゴミや汚染処理水は原子力発電所の敷地内に並べられ、放置したままになっています。
海外ではオンカロという、地中深くに埋める施設を作っているところもありますが、それが与える人類や地球への被害は不明です。
有害で処理方法の見つかっていない核のゴミが出続けるものを、新増設していいのか?
これは人類にとって、最大の課題とも言える大きな問題です。
⒉訴訟
福島第一原発の責任を求める訴訟では、東京電力の当時の経営陣に対して、13兆円の賠償命令が出ました。
そのことにより、電力業界では個人では抱えきれない賠償金を負うリスクがあり、電力会社の抵抗感とも向き合っていく必要があると言われています。
⒊国民の合意
政府は次回の選挙まで3年間の猶予があるとはいえ、国民の合意を得て進めていきたいでしょう。
その上で国民だけでなく、連立している原発反対派の公明党に対しても説明を尽くしていかなければ、自公連立が崩れる可能性も出てきます。
自治体、事業者、国民、連立政党、全てから合意を得て、このエネルギー政策を進めていく必要があり、難しい局面にある中で、電力はすでにひっ迫しています。
「原発新増設」YouTube大学|感想・まとめ
原発の危険性や核のゴミ問題を考えると、できることなら原発に頼らず再生可能エネルギーをメインにしていければ、という思いが漠然とありましたが、今回改めて世界情勢や日本の現状を知る中で、現実的に原発にどこまで(いつまで)頼り、どのようにシフトしていくことが理想なのか、自分の中で考えることができました。
この記事では割愛していますが、動画内では新世代原発についても触れており、安全性の向上なども紹介されています。
現状を知ったからといって、100%これだ!という意見を持てるわけではありませんが、まずは知って、全体像を掴むことで、さらに学ぶべきことが見えてきたり、一国民として賢い判断ができるのかなと思います。

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